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2013年12月23日月曜日

【大阪大学混声合唱団第55回記念定期演奏会】

2013年12月22日(日) 於 伊丹市立文化会館いたみホール

知り合いも若干オンステしていたステージ。演奏会直前には宣伝にもおじゃましました。

今日は朝、うぃろうのチラシ込みを委嘱されていたので、朝から伊丹に出ずっぱりでした。前日友人と日本酒をグラス3杯程あおりつつも、しっかり朝には起きるという、わたべらしからぬ高性能っぷりでした。

さて、そんな「阪混」、今年で55回目の演奏会を迎えられたそうです。おめでとうございます。

120人だそうです。新入生はそのうち40人、卒団生は19名。将来が楽しみです笑

・ホールについて
いたみホール。新しいホールなのでしょうか。ビル型で多目的施設ということもあり、講演にも使えるとは思いますが、反響板がオシャレで内装も爽やか。木目調ではないのですが、どこか刈谷アイリスホールを彷彿とさせます。音響は若干散りますが悪くはありませんでした。開発が古いせいでなにかと恵まれない関西のホール事情ですが、このホールは満足できるかとおもいます。ホワイエがオシャレです。クロークもオシャレです。トイレの洗面台は合わせ鏡です。客席2階構造ですが、それを感じさせないくらいです。恐らく2階の奥までいい音が届くのでは。

あまりの客入りに開演が10分遅延。座席交換の効率を考えた方がよかったかも、とこそ思うものの、想定外の客入りだったんだろうなぁ。超満員でした。

・第0ステージ
吉本昌裕「大阪大学学生歌」(立山澄夫・詩)
黛敏郎「萬葉歌碑のうた」(志貴皇子・歌)
いつかは大声で歌ってみたい1曲目。このメロディにも慣れてきました。でも、慣れてきたからこそ、逆に感動する旋律。立ち上がりの「生駒の嶺に」の一句から、歌の時代から見る山こそ変わったものの、普段研究室で見る箕面山の朝焼けを思い出さずにはいられません。今回の演出は、暗闇の中で団旗のみにピンスポットライトを当てた状態から曲をはじめ、「緑風さやけき」あたりでステージ照明が上がってくるという粋な演出。ここでまず、おおおっと来た。実は今回の演奏会の隠れた目的だったりします。演奏会全体を通して、少しテナーが重かったかな……。
2曲目は、阪大混声が初演し、今も愛唱されている曲とのこと。往時の阪大教養部教授の故・犬養孝先生の還暦記念の1曲だそうです。同音にはじまり段々と低声の音程を下げて創りだすハーモニーにはじまる静謐な曲は、moll の和声が難しいものの、非常に良い曲だと思い至りました。なお、歌碑は飛鳥の甘橿丘にあるそうです。

・第1ステージ
新実徳英『川崎洋の詩による五つの混声合唱曲「やさしい魚」』
指揮:馬場麟大郎(学生)
ピアノ:山本亮(学生)
念のため言っておきますが、「やさしい〈うお〉」です。……まぁ、僕も読み間違えていたのですが←
どうしても、新実徳英のこの手の曲というのは、さらっと流すとただ流れていってしまう向きがあります。実はそんなに難しくないように聞けても、やってみると「聴かせる」のは結構難しかったりする。例えば、ところどころで訪れる和声の決め所はもちろんのこと、縦のタイミングだったり言葉なの流れだったり、ディナーミクに決然さがなかったりすると、ただただ音と音素の羅列で進んでいってしまいます。
で、少し今回の演奏ではこの要素が足りなかったかなぁというのが正直な印象です。特に1曲目「感傷的な唄」と5曲目「やさしい魚」がその傾向の強い曲なので、余計にその印象が強くなってしまいました。逆に叩くべき場所でしっかり叩けない、というのが4曲目「鳥が」中間部の微妙なズレにつながってしまいました。2曲目「ジョギングの唄」はよかっったです。学生団らしい快活さがいい意味で露呈しました。3曲目「天使」それこそ相澤直人先生指揮の早稲グリ(2011)音源(!)を何度も聞きましたが、その思い出もあるのでしょう、もう少しためて、じっくりと演奏しても良かったのではないかと思いました。とはいえ、大変な作品をかくも大人数相手によくまとめました。それだけで十分すごい。来年も頑張れー!

・第2ステージ
〈OB・OG合同ステージ〉
三善晃『唱歌の四季』(文部省唱歌)
指揮:磯野将吾(学生)
ピアノ:竹田景子・松川峰子
こういった大型のステージになると、割と好んで選ばれる曲。もちろん合同ステージということで、三善先生ご逝去の前から決まっていたそうです。ちなみに、周りからは「童謡のステージ」などと、親しみやすそうだという声が聞こえてきました。確かに、三善作品の中でも群を抜いて親しみやすい曲集なのは確かなのですが、3曲ほどオーケストラ版(鈴木輝昭管弦編曲)を歌ったことがある限りでは、まぁ、相変わらず三善だなぁという難しさです笑ソプラノとか、ね笑
さて、もともとひな壇は6段組んでありました。そのうち、現役ステージでは5段使っていましたが、合同ステージでは6段フル活用で詰めっ詰めに立った上で、さらにベタ2列でステージ端まで溢れんとする勢いでオーダー。さすがスゲェや阪混……(笑)1曲目「朧月夜」の低声の立ち上がりの遅さや2曲目「茶摘み」の鼻濁音の欠落は少し気になりましたが(文部省唱歌なのでこの曲の場合必須)、とはいえ、4曲目「雪」や5曲目「夕焼小焼」の出来栄えについては、合同とは思えないほどでした。特に、あの人数で「雪」後半の突き刺さるようなリズムパートをあそこまで再現できるのは、十分及第点です。そしてピアニストが秀逸。竹田さんは、阪大出身だそうです。阪混出身だったかは覚えていませんが……。でもいいなぁ、大人数でやる「夕焼小焼」のバリトンとセカンドは最高に気持ちいいんですよね、一度歌ったことある方なら、この気持ち、絶対共感してくれるはず……笑

・第3ステージ
高嶋みどり『混声合唱組曲「愛のプロローグ」』(谷川俊太郎・詩)
指揮:磯野将吾(学生)
ピアノ:竹田景子
7月の京大合唱団・パナソニック合唱団とのジョイントで披露した曲の再演です。当時のポストを読み返すと、「終曲など、盛り上がる部分はよかった。ただ、弱音部の着想にやや難あり。「聴かせる」というより「こなす」音使いになっていて、ただ小さいだけだった。ともすると、出だしの piano も、もっと聞かせられたと思います。もっとも、人数が急に多くなっていることを考えると、十分及第点だとは思われます。普通に聞いててイイ演奏ではありました。」などとエラソーなことが書いてありました。
それを踏まえて、今回。一言で言うと、実力は明白に向上していました。1曲目後半の弱音部など、まだまだ聞かせられる部分こそありましたが、マルカート部分を中心として、曲の輪郭がはるかに明確に縁取られていて、高嶋音楽らしい激しさと壮大さが十分に表現されていました。1曲目、3曲目が秀逸。最後の演出も、照明としっかりと調整して、ピアニストも巻き込んで、しっかりと楽しませるステージができていました。思わず、ブラボー。実を言うと、上に指摘した部分を含めて、まだ調整できる面はあるのですが、それにしても、この成長の凄まじさ、たくましさ。合同ステージ含めしっかり振り切った学指揮マエストロ磯野くん、素晴らしいです。加えて、ソプラノ Soli、Brava!

・第4ステージ
相澤直人『混声合唱アルバム「なんとなく・青空」』(工藤直子)〈委嘱初演作品〉
指揮:相澤直人
a cappella
今回の注目ステージのひとつ。Nコン課題曲や2月のグランツェ、そして先生が振る複数の主宰合唱団での活動、初演など、今年多忙を極める相澤先生。今日もお決まりの黒カッターがよく決まってました。実は相澤先生、自身の指揮振りで初演をするのははじめての挑戦だったそうです。
曲についてから。
端的にいうと、今すぐにでも出版して欲しいくらいです。相澤先生らしいさわやかな音使いが全曲にわたって充満していて、工藤直子先生の詩とよくあっていた。中でも白眉は1曲目「なんとなく・青空」。ステージのはじめから、お茶目で爽やかな曲なんだけれども、どっかアンニュイな感じも漂ってくる。そして、これは言葉の話ですが、「なんとなく・青空」というタイトルがまたよいのです。この、ワクワクするタイトル。ほかにも、4曲目「メンテナンス」の急激な局長の変化を伴う技術的な曲も含めて、全ての曲が、聴きやすくも決して飽きさせない、素晴らしい出来でした。早く出版して欲しいです。終曲は木下牧子作曲でも有名な「あいたくて」ですが、こちらの「あいたくて」、これも非常に素晴らしかったです。
演奏について。あまり細かいことは言いませんが、確かに、相澤先生の言葉を借りれば、簡単に聞こえるけれども実は内部で難しい動きをしている曲。ところどころ和音がしっかりはまっていない部分が目立ちました。まさに、相澤先生の言葉を再度借りるならば「あと5回リハーサルすればもっといい作品が出来た」笑。とはいえ、初演としては十分の出来だったのではないでしょうか。何より、阪混の音質・音色とあっていました。
なんにせよ、凄く素敵な、この日5つ(阪混のほか、エルデ、葡萄の樹、響宴、豊田市少年少女がそれぞれ初演ステージ)の初演のひとつでした。今日は初演が多すぎる……笑

・アンコール
相澤直人「ぜんぶ」(さくらももこ)
指揮:磯野将吾
ピアノ:相澤直人
本人お得意のピアノ演奏。自身の大人気曲を学指揮磯野くんに(「無理やり」!?)託し、自身はピアノで伴奏。決して詩も演奏も難しい曲というわけではないですが、だからこそ、胸にド直球で刺さる曲。「たいせつなことはぜんぶここにある」という、深いけれどもさくらももこらしいピュアな感性で編まれた、この何気ない一言が、学生団にかぎらず、さまざまな志に生きる全ての人の心に、深く染み入ります。いい曲です。自身も歌ったことありますが、歌ってても泣けるんです、あの曲。次世代の「鴎」と呼んでも差し支えない、人口に膾炙した名曲として語り継がれるだろうと思っています。なお、別に先程から、木下牧子先生に喧嘩を売っているわけではありませんwwww

・エンディング
高嶋みどり「じゃあね」(『愛のプロローグ』より)
指揮:磯野将吾
ピアノ:竹田景子
メインステージから、なんとも卒団を意識させるような曲を選んできて演奏。関西の学生団だと、最後は卒団生がコサージュを付けて、アンコールの最後に卒団生を前に出して歌わせることが定番なのでしょうか。フロイントでも同じことをやっていましたが。最初から涙声で、学年tuttiで旋律を刻む卒団生たち……やめてくれよ……こっちがもらい泣きしちゃうじゃないか……と思ったところ、「また会うこともあるかもしれない」という部分のマルカートで元気よく、そして最後の「じゃあね!」という明るい、未来へ向けたメッセージが印象的に終わってくれました。最後はみんな笑顔で。爽やかなエンディングが、いかにもこの演奏会らしいです。

・ロビーストーム
(1曲目不明)
The Carpenters”Yesterday Once More”
1曲目は応援歌かなぁと思って先ほどあたってみましたが、どうやら違うようです。お詳しい方、ご教示頂けたら幸いです。2曲目は、途中ハミングにして団長挨拶。各学年に愛の篭ったいい挨拶でした。

他、挨拶などして、帰宅。

・まとめ
後半に行くにつれ良くなっていくステージでした。各パート固有のクセなどはみられましたが、考えてみれば1回生中心のメンバー構成。恐らく、これから年を追うごとにどんどん上手くなっていくのではないかと思います。とくに、初年度がこれ。是非、今後共たゆまぬ研鑽を積まれますよう。応援しています。あ、知己若干名御中、お疲れ様でした。

・メシーコール
お昼ごはん:ゑびす家(阪急伊丹)……久々の家系ラーメン。思い出す家系の味。マニアではないので細かいところは知りませんが、トッピングでみるみる味が変わるのが面白かったです。美味しかった。
夜ごはん:一福(石橋本店)……回数こそ少ないものの、御用達。一度食べたらやみつきのとんこつラーメンです。スープが、単純に豚骨を煮出しただけという、ものすごく繊細でやわらかい味のスープ。ちなみに、元祖面と卵麺では元祖麺が好きです。多分、元祖バリカタぐらいがちょうどいいのかなぁと思います。次行ったら粉落としは一杯食べよう。最近、心斎橋に2号店が出たそうです。是非。超お勧めです。
実は前日夜は一刀流で〆てました。つまりどういうことかというと、この2日でラーメン3杯食ってます。ヤバイヤバイ。「北摂麺大使」にはならないぞ、うん、ならないぞ……!←

2 件のコメント:

  1. おそらくロビーコール1曲目は、金沢大学合唱団の団歌ですね。
    金大と阪混は2年に1度合同演奏会を行っており、お互いの演奏会のロビーコールで、相手のテーマソングを歌うのが恒例なんです。

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  2. Yamakawa 様
    さっそく情報ありがとうございます。なるほど、金大阪混のジョイントの話は聞いておりましたが、ロビーでもしっかりと強固な結びつきを確認できる、羨ましい仲の良さですね……!

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